矯正治療は、歯並びが悪いからするものだ、とお考えではありませんか?じつーは、悪化した歯周病を治すためには、矯正治療が必要なのです!

先日、成人矯正歯科学会の「矯正治療と歯周病:矯正治療に必要な歯周組織のメンテナンス」と題したセミナーに参加してまいりました。
講師は、明海大学歯学部(口腔生物再生医工学講座)歯周病学分野教授 申 基拈萓犬函吉本矯正歯科院長 吉本彰宏先生のお二方です。

アタッチメントレベルとプロービングデプス歯周疾患は、歯周病菌に感染したことによって引き起こる慢性の病変ですが、多くは痛みを伴わずに、アタッチメントロスや骨欠損が進行してゆきます。(※アタッチメントロスとは、セメント-エナメル境(歯冠と歯根の境目:CEJ)から、ポケット底までの距離が、増大すること。)

結果、歯周疾患の進行に伴い、歯がグラグラと動揺し、歯が病的に移動して、歯並びが悪化し、噛み合わせも変化してゆきます。

そのため、歯周病は、あらゆる歯科の分野が連携して治療が行われる必要があるのです。

図は、日本歯周病学会編 医歯薬出版の「歯周病の検査・診断・治療計画の指針2008」からのフローチャートです。(クリックで拡大)

歯周病治療の進め方8番目の口腔機能回復治療のところに、矯正治療が含まれておりますが、症例によっては、4番目の歯周基本治療と5番目の再評価の後に、矯正治療を歯周病治療と平行して行われるケースも多いと、レクチャーを受けました。

これで、なぜ歯周病治療には矯正が必要なのか、おわかりになったででしょうか(^^)。

歯周病患者の矯正治療は、歯を本来の位置に正して、お口の中の環境を整え、きちんと咬めるように機能回復を行うために必要なのです。

合わせて、吉本先生によりますと、歯周病ではない患者さんの矯正治療後に歯肉が退縮するケースは、Maynardの分類のtype4(歯槽骨が薄く付着歯肉も少ない方)が多いとのことでした。
CT等で検査しないと、なかなか歯槽骨や歯肉の厚みまではわかりにくいですが、矯正のレントゲン(セファロ)で骨が薄いような方は、十分に注意して矯正治療を行う必要があることもわかりました。

私たち矯正歯科医は、とかく歯を動かすことを第一に考えてしまいがちですが、矯正治療後にきれいに並んだ歯並びの維持だけではなく、歯周病治療の観点からも、歯周組織への配慮を十分に行う必要がある事を、強く再認識してまいりました。

今回は、ちょっと専門的なお話になってしまって、ごめんなさい。もしご不明な点がありましたら、来院された時にでも遠慮なく聞いて下さいね。

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